外国人技能実習制度と特定技能制度の見直しを検討していた政府の「有識者会議」は昨年11月30日、小泉龍司法務大臣に最終報告書を提出しました。報告書によると、現行の技能実習制度を発展的に解消し、新たに人材確保と人材育成を目的とする「育成就労」制度の創設を提言しています。新制度での受入れ分野は特定技能の分野に合わせ、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準に人材を育成するとしています。
現行の技能実習制度については、人材育成等の観点から原則として転籍ができないことや監理団体による監理・支援が十分でない場合があり、人権侵害や法違反の背景・原因となっていることを踏まえ、「国際的にも理解が得られ、日本が外国人材に選ばれる国になる」としています。そのため、他社への転籍を認めるほか、技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・地方出入国在留管理局との連携強化や、監理団体の許可要件等の厳格化を打ち出しています。
技能実習において「やむを得ない場合」を除いて認めていなかった転職については一定の要件で本人の意向による転職が可能となります。具体的には、①同一企業での就労期間が1年超、②技能検定基礎級と日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格、③転職先企業で就労中の外国人のうち転職者数が一定割合以下にするとともに、転籍は同一の業務区分に限る―という要件を求めています。
ただし、「当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討」することも盛り込まれております。また、自民党は転籍できる就労期間の要件を「2年」とすることができる経過措置を提言しています。
経過措置を設けることは有識者会議の委員からも反対意見を出されました。国会での法案審議が注目されます。